わたしを動かした「出逢い」のはなし
新しいチャレンジや夢に向かって走りつづけている輝くビジネスパーソンを対象に「出逢い」についてのエピソードをインタビューさせていただく新企画。 仕事に対するモチベーションや新しい人脈を作る上でのヒントが見つかるかもしれません。
当コンテンツの記念すべき第1回目は、今年4月にキングソフト株式会社の取締役社長に就任したフェンダ氏が登場!
ITソフトウェアやソリューション事業、近年では広告プラットフォーム事業を展開するキングソフトに女性エンジニアとして入社して10年。
取締役社長に就任して約2ヶ月が経過したフェンダ氏に、これまでの『わたしを動かした出逢い』について語っていただきました。
中学時代に開発の面白さを体感
ー本日は宜しくおねがいします。早速ですが、フェンダさんの幼少期はどんな子供でしたか?
一人っ子ですが、親戚の子供たちと一緒にいることが多く、実質お姉さんのような長女気質だと自分では思っています。
ー勉強はお好きでしたか?
中学校の時から数学オリンピックに出たり、理系が得意でした。
中二のときにプログラミングの授業を受けて、面白さを感じました。好きこそものの上手なれ、ではないですが面白いから勉強する、新しいプログラミング言語を学ぶと、また面白さに気付くといった繰り返しでした。そのまま、大学でも機械工学を専攻しました。
自分のキャリアプランを早くから想像していた
ーその後、日本で働きはじめて印象的な出来事はありましたか?
はじめ就職した会社では土曜日でも休むことなく働いていてびっくりしました。今思えば特異なことだったのかもしれませんが、カルチャーショックでしたね。 でも、すべてが新鮮で仕事に対して辛いと思ったことはありませんでした。
ーでは、とにかくバリバリ仕事をしていたと。
そうですね(笑)
バリバリと言えば、そうですね。でも、その後1年間働いてみて新しい悩みが生まれました。『女性としてのライフプラン』についてです。私の人生では、結婚・出産はひとつの大きなテーマでした。早めに経験して仕事に復帰したいと考えていました。
ー一度会社を辞めたらなかなか復帰できないのでは。という不安や迷いもあったのではないですか?
不安が無いわけではありませんでしたが、出産した後のキャリアプランを明確にイメージはできていました。それよりも、歳を重ねて仕事から離れることへのキャリアダメージの方が大きいと考えていましたね。 結局、タイミングと縁が合って結婚・出産を機に仕事を辞めました。
その後3年間は家で育児をしながら、越境ECビジネスをしたりして過ごしました。
「出逢い」が自分を成長させてくれると気付いた
ー家でもビジネスをされていたということですが、なぜ職場・企業に属することにしたのですか?
一人でビジネスしていて、そこそこ順調でしたが、組織で仕事したほうが自己成長につながると実感したことが大きいですね。自分ではない他人と「出逢う」ことによって、普段気付くことができない気付きやアイディアが生まれると思いました。
ーその想いから再度就職活動をしてキングソフトに入社されたんですね。
はい、いくつかの中途採用試験を受けましたがキングソフトのほかにも大手企業に1社内定をいただいたんです。何百人も社員がいる企業と、当時3名ほどしか在籍していない小さなスタートアップ。 悩みましたが、小さなスタートアップだからこそ自分の求めていた「会社と一緒に成長できる」実感が持てるのではないかと思って入社を決めました。
当時キングソフトが入っていた渋谷のマンションがきらびやかで素敵だった、という理由もありましたが(笑)
社長に「営業同行」させてもらったことが大きな転機になった
ー現在、キングソフトではどのような仕事や役割を担っていますか?
2006年にキングソフトへ入社して10年。今年4月に取締役社長に就任しました。
今取り組んでいるのは、全社の事業構造を最適化すること。 ここ数年でも、キングソフトの事業構造は大きな変化を遂げています。オフィスソフトやセキュリティソフトにより日本のPCユーザーにインパクトを与えてきましたが、今はスマートフォンアプリにシフトし、アプリ広告事業や法人分野に注力しています。
既存事業、新規事業かかわらず、社員全体がモチベーションをあげながら日々業務に取り組めるための環境づくりは重要な課題だと思っています。 「働きやすい会社」を大きなテーマに掲げて採用活動にも取り組んでいます。
ー今のフェンダさんを変えた「出逢い」について教えてください。
いままでエンジニアとして勉強を重ね、就職してからも初期のころはエンジニアとして開発やディレクションをメインに仕事をしていました。 開発者が必ずしも外界に触れないわけではないですが、社外の人とディスカッションする場はとても少なかったです。
そこで、大きな転機となったのは当時社長だった翁さん(現会長)の営業同行。
新規事業を立ち上げるにあたり、私も営業を学ぶ必要があり、自ら積極的に営業や打ち合わせをするタイプの翁さんに勉強のため付いて行き同席させてもらいました。 中国に「たくさん本を読むよりも旅をする、旅をするよりもたくさんの人と出会うことの方が成長できる」といった意味合いのことわざがあるんですが、まさにその通りだと実感しました。
ー営業同行がターニングポイントになったわけですね。
そうです、この営業同行がなかったら、社長就任も無かったかもしれません。そのくらい、外部の方から様々なエッセンスを直接聞くことは自分の成長の糧になると感じています。
SNSを使った交流も一般的にはなっていますが、やはり直接お会いして話を聞く機会は、お互いの熱量も伝わりますし刺激を多く受けることが出来ますね。 はじめのころはビジネスメールを書くのも苦手意識が強かったのですが、こういった部分も翁さんが後押ししてくれたので勉強しながら克服することができました。
おおげさかもしれませんが、会社の器=社長の器だと思う
ービジネスパーソンとして常に心がけていることはありますか?
責任もありますが、今本当に仕事が楽しいです。
その理由のひとつに「人との出逢い」が関わっていることは間違いありません。なので、いかなる状況でもが積極的に人と繋がっていけるように意識しています。名刺交換する場でも待っているのではなく自ら動くようにしています。 女性経営者がまだ少ない業界なので、向こうからも抵抗なく名刺を交換できるよう自分から声をかけます。
仕事に対しては「常に野心をもつこと」を忘れないでいたいですね。おおげさかもしれませんが、会社の器=社長の器だと思っているので、今立っている場所や現状に満足せずに常に上を向いて成長したいと願っています。 ジョブズの言葉「Stay hungry,stay foolish」がまさしくぴったりです。
ーフェンダさんのこれからの夢を教えてください
働くようになってから思い続けていることが「社会を変えられる人、社会貢献できる人になりたい」ということです。 この想いを自己実現として表現できる一番の形・・・ 政治家になりたい・・・のかも知れません(笑) まぁ、政治家じゃなくても、私と一緒にいる人が「楽しい」感情を持ってくれたら嬉しいですね。ずっと子供が自慢できるようなお母さんになりたいです。
馮 達(ふぇん だ)
1979年生まれ。中国上海市出身。上海交通大学を卒業後、エンジニアとして来日。2006年にキングソフト株式会社にSEとして入社の後、総合オフィスソフト「KINGSOFT Office」の製品マネージャー、無料セキュリティソフト「KINGSOFT Internet Security」の広告事業立ち上げを務めた後、 技術開発部 部長、プロダクト・マーケティング本部 部長を歴任し、 2015年に初めての女性役員として取締役 兼 執行役員に就任。 チーターモバイル社のアプリ、モバイル広告プラットフォーム「Cheetah Ad Platform」の日本市場での展開を統括。2016年4月より、取締役社長に就任。